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Category: 野球なカップル  1/2

野球なカップル(終話)

終)ぽつりと黄色五月のなかば。今年は春先にぐずついたものの夏が早く、五月のなかばだというのにナイターでも暑いぐらい。内野席だが外野に近く、しかも一塁ホーム側ということでブルー一色。チケットを勝美に任せておくとこうなるのはわかっていた。その水曜日。野球よりずっと早くから横浜で遊び、それから勝美の家で軽く喰って、ふたりともユニフォームを着た姿でハマスタへ出かけたんだ。青い女と黄色い男の歩く様は妙である...

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野球なカップル(九話)

9)距離より距離感「そりゃそうでしょ、ルーキーなんだから。それもアレよ、ドラフト外の・・えーと、ほら、社会人から入ったようなもんだから」「ちょっと違うね、社会人でも野球は野球さ。セミプロからプロになっただけのこと」「そっか・・うん、じゃあアレだわ、トライアウトって言うの?」ちょっと待てい! 俺はスーパーを戦力外になったわけじゃねえ!何でも野球で考えるアイツの発想が面白い。日課のように勝美と話した。...

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野球なカップル(八話)

8)弱気な海原そうして家は出たものの俺は逆向きに歩き出していたんだ。山下公園のあるあたりから中華街にかけて学生時代に歩き回った記憶は残っていたが、結局このあたりをよく知らない。あてもなく歩くより、だったら港を見ておきたい。幾度も見た景色だったがいまはまだ旅人の気分であり、どれほど見たって飽きないものだ。今日は風が出ていた。公園から臨むひらけた海原に縞模様を描くように白波が立っている。晴れ、ところど...

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野球なカップル(七話)

7)勝手なスクイズ逢いたくてならなかった勝美といい感じになれたことが嬉しかった。勢いで言ったとしても後悔なんてしていない。それで俺は休みを二人で過ごした翌日の金曜日には、俺をいまの仕事に誘ってくれた知人に話し、会社にも退職願を出していたんだ。もちろん親にも電話した。それは週末をまたいだ火曜日のことだった。どう言えばいいのか整理したつもりだったが、電話でお袋に泣かれてしまい話がグダグダになってしまっ...

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野球なカップル(六話)

6)およそ300キロその距離は気にならないだろうと考えたんだ。だけどいざ離れてみると会いたくなって揺さぶられる。親父さんは退院したけど、体の右に力が入らないらしくって当分店は無理だった。脳の病気のように治らないということじゃなくリハビリを続ければ回復するだろうと言われている。だけどそれにしたって半年やそこらはかかるに違いない。それに親父さんが家にいることで勝美は店が休みでも動けなくなってしまう。俺...

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