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Category: 流れ才蔵  1/6

続・流れ才蔵(終話)

八話(終話) 生きる力 捕らえた女三人は才蔵以外の皆が見守る中で裸にされて体が調べられ、薄い寝間着だけを与えられて縄掛けされて、千代が住む家の土間に並んで座らされた。縄はお泉が縛る。いかな忍びであっても縄抜けできない地獄縛り。才蔵は何も言わず、傍らにいて見守っている。 一段高い板の間に座り三人を見下ろして千代が言う。「おまえたちの身の上など訊かないよ、どうでもいい。どういうことだかそれだけを隠さず...

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続・流れ才蔵(七話)

七話 虚しい剣 その夜、才蔵とお泉は女たちが皆で囲む夕餉の席に加わった。若い侍がひとりいる。それだけで話がはずみ、女たちは一様に目を輝かせていたのだったが、夕餉が済んで才蔵は皆に言った。「ちょいと聞いてほしいんだが」 皆は静まり才蔵に目が集まった。「明日の朝にでも俺とこっちのお泉とでここを出る」 と言って才蔵は、お泉に化けた梓の膝をぽんとやった。「得体の知れねえ客人がいたんでは敵は動かねえ。そっち...

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流れ才蔵(六話)

六話 外種(そとだね) 数日また数日と過ぎていき師走も末となっていた。雪が来る前にちょっとは先まで歩いてみたかったのだが、暖かかった冬らしくない日々もここに来て北風が強くなり、雪となる冷えに覆われはじめていた。この部落が男どものいる有り体の海の村ならこのまま留まってもよかったのだが、女ばかりでは身が持たない。日に日に女たちと打ち解けていくのはいいのだが、お泉との静かな時が持てなかった。 しかしその...

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続・流れ才蔵(五話)

五話 代わり身 司と呼ばれる女はすぐ見つけることができた。才蔵が先に洞穴を出たとき、部落に半数残った女たちのうちの三人が、ある家の前の道筋に投網をひろげ、明るい声で何やら話しながら網を繕っていた。ひとりが名を呼ぶことがあり、その相手が司であったからだ。 才蔵は司に歩み寄ろうとしたのだが、地べたにひろげた網にしゃがんで群がっていた女たちは着物の裾が割れていて、才蔵の姿を見ると三人一様に裾を合わせて気...

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続・流れ才蔵(四話)

四話 大海原 翌朝のこと。江戸ではあたりまえの早朝に目覚めてみると部落の女たちの半数がすでに出ていなかった。日々半数が海に出て半数は体を休める。とりわけ冬は体が冷えてそうでなければ持たないからだ。漁といってもその日を喰う分だけ。部落の背にそそり立つ崖を回り込んで陸へと行くと百姓村がいくつもあって野菜などと交換する。そうやって女たちは生きていた。 そのときお泉は楓の傷を診るために家にいて、才蔵ひとり...

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