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Category: 小説 夏の北風  1/7

夏の北風 INDEX

夏の北風 全34話能登半島。対岸に能登島を望む七尾北湾に面したちっぽけな漁師町に、夏のある日、横浜ナンバーの旧型ジムニーで乗りつけて孤独なキャンプをはじめた若者がいた。過疎が進み廃村寸前となっていた漁師の集落は、突然あらわれた素性の知れない珍客に眉をひそめる。一話 孤独な野宿二話 逞しい失踪者三話 思い描く都会四話 待ちわびた夏五話 少女の決意六話 メトロノーム七話 出発と再出発八話 ちょっとした...

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夏の北風 終話(後)

終話(後) ここが原点  それから二時間。その頃には皆が起き出し、ゆうべの話が冗談でなかったことで皆は優子とそして山崎砂田の二人の想いを察していた。  軽い朝食の支度はできている。沢へ行った五人の帰りを待っていて、ちょうどコーヒーができた頃、古く粗末な家の板戸がガタガタ軋んで引き戸が開いた。  砂田を先に、優子、斉藤、瑠美、最後に山崎が家へと戻る。家に入って瑠美は真っ先に瀬田に向かってウインクし、そ...

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夏の北風 終話(中)

終話(中) ここが原点  豊かに生い茂る夏の自然林の只中にあり、そこだけぽっかり空いたように陽射しが満ちる清流を見渡して、斉藤は浅く笑って言うのだった。 「ううむ、穴場なんだが、ここではちょっとな。ひっそり訪ねるにはいいかもしれんが大勢でテントを張ってとなると・・」  斉藤と二人であらためて見渡して瀬田も納得できてうなずいた。静かなまま残しておきたい森の聖域。それほどここは素晴らしい場所だった。  斉...

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夏の北風 終話(前)

終話(前) ここが原点  二度目の奥秩父も好評で次回また参加したいと言う者が多かった。前々回の参加者の中からも声が上がっていたことと、加えて新規の希望者もかなりな数になっていたから、次回は百名を軽くこえる勘定になる。そうなると校庭と校舎の両方を使わないとまかなえない。  七月初旬。梅雨の明けた夏空だったが今日は南岸をかすめて低気圧が通過するということで夕刻からの雨が予想されていた。  その日はショッ...

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夏の北風 三一話

三一話 次への歩み 時刻は夜の八時を過ぎていた。明るいうちからはじめた夕食のバーベキューだったのだが、参加者が少ないにもかかわらず前回よりも時間がかかってしまった。梅雨時の長雨で土がゆるんで校庭が使えない。キャンプファイヤーももちろんダメだし、そのそばに造られた火力の強い薪のカマドが使えない。前回のように参加者それぞれが自分のテントでつくったものを持ち寄ることもなかった。タープテントの下に炭火のコ...

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