FC2ブログ

Category: 生と死のレゾナンス  1/1

生と死のレゾナンス

四話 科学と非科学 揃ってブルーリバーを出て調布駅のホームに立ったとき、三森の背後に寄り添うように周囲を警戒する平沼刑事に、三森は言った。「それにしても、そんなことってあるものでしょうか。呪いがどうとか、とても信じられなくて」 平沼が言った。「私だって信じてなんていませんでしたよ。突き落とされて、そのときチラッと赤い服が眸にとまり、落ちて一瞬手をついたんですが、とっさに振り向いたときには誰もいない...

  •  0
  •  -

生と死のレゾナンス 三話

三話 学者の推論 それから三森は、誰に言うでもなく山ビルの生態を語りながら、アルミケースで持ち込んだノートパソコンをテーブルに置いて立ち上げた。「それでなくても山ビルは棲息域をひろげています。理由はいくつか考えられますが、ヒル本来の環境、つまり山奥で生きる上で宿主となる猪や鹿が増えすぎて里に降りてきたのが原因とも言えるんですね。キャンプやハイキングで山へ入る人が増えたのも一因となっている。吸血され...

  •  0
  •  -

生と死のレゾナンス 二話

二話 二人の来客 事実の究明のみを目的とした捜査に関わった平沼が襲われたことは、かつて上司として苦楽をともにした宗像を怒らせた。これ以上踏み込むなら殺すという意思表示。剣道家でもある平沼だからよかったものの、これが並の人物ならば消されていたかも知れない。 宗像は思う。あの頃の俺は刑事。呪いなどというまがまがしいものを、いつまでも追いかけてはいられなかった。不可能犯罪は警察捜査の範疇をこえている。平...

  •  0
  •  -

生と死のレゾナンス 一話

一話 序章~呪いの使者 東京、世田谷。九月のなかば。 このとき時刻は午前十時を過ぎたところ。 三連休の初日となるその土曜日は、一昨日からの雨もあがり、夏の後ろ姿を見送るような晴天に恵まれた。陽射しはまばゆく、それでいて風は涼しく秋の気配。ここは環八と東名高速用賀インターに接する都内有数の緑地公園。周囲をぐるりと森と見まがう木立に囲まれた土の広場には、小さな子供たちを遊ばせる若いママが多くいて、親と...

  •  0
  •  -