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時代劇のむずかしさ



何作か書いてきた。しかしいつも苦しむわけです。和装。テレビで見た着物の
柄はなんて言うの。それを言葉で矢絣(やがすり)と書いたところで、ほとんど
誰もわからない。
たとえばですが「襟を抜く」「赤襟を返す」なんて、さていったい何のことやら。
髪型だって時代によって変わるものだし。島田髷ってどんなアタマよ??
映像で見せる江戸と言葉で書く江戸は違うんですね。

それをどうわかるように書くか。黒に桜の模様なら専門的な呼び名じゃなくて
「濡れ烏に富士桜の裾模様」というふうに書いてやればなんとなくわかるわけ
でして、この「なんとなくわかる」がすべてなんです。
帯の結びなど、もはや表現のしようがない。「あでやかな芸者結び」とか、そん
なものはないわけですがイメージは伝わるでしょ。

本格時代劇なら時代考証。江戸時代なら、ときの将軍にからめた事件などを
盛り込んでいきたいわけだが、そうするとたとえば藩と藩主なんて、時代によ
って変わってしまうし、その家臣にいたっては家老が誰かもわからない。調べ
ていると書くより時間がかかってしまう。

言葉遣い。以前は忠実にと思ったのですが、風で裾がめくれて「あーれぇー」
なんてダサイでしょ。「あら嫌ぁぁーん」のほうがよっぽど雰囲気が伝わるわけ
です。
時代論文ではない。読者は現代人なんだから、わかりやすい方がいい。まし
てネットだ。誰が辞書を置いて読みますか?

でも、だからこそ時代劇は面白い。次作は辰巳芸者が登場する。江戸城から
見て辰巳の方角にあったからそう呼ばれる。そんなことさえ調べないとわから
ない。僕はアホだったと気づくわけです。

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