阪神展望台(オフバージョン)

岡崎潤のエッセイほど恥ずかしくないトークと小説。タイガースびいきですが、なにか?

時代劇のはてさて 



時代劇を書いていて、いくつものはてなにぶちあたる。たとえば『藩』だ。
加賀藩、薩摩藩~テレビを見ていて平然と言われる『なんとか藩』なの
だが、『藩』などいう言葉は幕末になってできたもの。それ以前に藩など
という概念はなかった。

では江戸時代はどう呼んだのか? 彦根の井伊、加賀の前田、薩摩の
島津、というようになるのだろうが、では陸奥の伊達と言われてどこだ
かわかるだろうか。陸奥は、いまの福島あたりから山形、岩手、秋田、
青森あたりまでのすべてをひっくるめた地名。
したがって仙台の伊達、もしくは仙台藩と書かないと、わかる人にしか
わからないものになってしまう。
伊達政宗のように誰もが知る人物ならともかくも、一万石程度の小大名
がおさめる藩などわかるわけがない。

以前にも書きましたが、歴史の論文を書いているわけじゃなく、小説は
わかることがすべてだから、さてどう書こうとかと迷うわけです。

小説(文章)のポイントがここにある。

現代劇でもそうだがビジネス文書に出てくるような漢語を連ねても、どこ
かで読んだものにしかならず、また妙な日本語も生まれてくる。
『景子は束縛されて監禁された』・・は? なんですと? と言いたくなる
ような。

漢字の熟語、三文字四文字熟語、こうしたものは『ひらく』のが文章力。
見張られて監禁された? 縛られて監禁された?
アレはだめコレはだめと言われて監禁された。
さらに監禁だ。束縛と同じ意味を持つわけで、まるで政府の左脳文その
ままではありませんか?

さて、そのときに。江戸の言葉ってどうだったのかと悩むわけだよ。
そこにはやはり時代劇ならではの趣がないと浅く感じられてしまうでしょ。
御家老=ご家老。しかし御神酒=お神酒。『御』の字の読みが違うわけ
で、御家老=お家老とでも理解されると、そいつをぶん殴ってやりたく
なる。日本語にはそんな言葉がたくさんあるのです。

駅のホームの生蕎麦ののぼり。「おばさん、ナマ蕎麦ください」・・ん?
てめえ! ナマで喰えるもんなら喰ってみやがれ、べらぼうめ!
と、なぜか、べらんめえになるわけですよ。

だいたい芸者遊びなどしたこともない俺がだよ、置屋の奥などわかるわ
けねーだろ!

だああ、ムカツク!
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